脂肪吸引は、最も技術の差が出る手術かもしれません。脂肪吸引は取れば取るほど美しい結果になるというものではありません(勿論、そういったケースもあります)。
美容外科に入門して初期に覚える手術のひとつに脂肪吸引があります。覚えたての先生は 張り切ってますから一生懸命吸引します。「先生!今日は3リットル吸引しました。明日は4リットルに挑戦します。がんばるぞー!」そんなことを言っている先生に出会ったら、気合いをそぐようで申し訳ないのですが、脂肪吸引についてじっくりと説明してあげなければなりません。脂肪吸引は彫刻のようなもので多くとれば良いといったものではないのです。大木から仏像を彫りだすくらいの心構えでやってほしいものなのです。
臀部下部・下腹部・ウエスト・上腕など、重力の影響を受けやすい部分(特に高齢の方)は吸引する層を考えて吸引しないと、皮膚のタルミという問題を残してしまうこともあります。しかし、患者さんにはさまざまな目的や環境がありますので、目的によっては皮膚のタルミや張りを度外視して吸引して良い場合もあります。
またバランスの問題もあります。日本人の女性で多いのは上半身が細く、臀部下部から大腿部外側に脂肪がつくタイプです。こういった場合はウエストの細さに合わせて大腿部を吸引するので、多く吸引すべきです。しかし、身体全体にバランス良く脂肪がついている場合は最も難しいケースです。ある部分を吸引すると、他の部分が太くみえてしまうからです。ですから本人の希望を聞いた上で、こういったことをインフォームドコンセントし、吸引量と層を決めて吸引しなければならないのです。
ちょっと前の話ですが、70歳の着物を着た上品そうな女性が脂肪吸引のカウンセリングに来ました。
「先生、太ももの脂肪吸引したいのですが。」
「はい わかりました。(診察後)太ももの外側が張り出していますから、外側を多めに吸引すると良いと思います。」
「いや、内側だけでいいんです。」
「他の部分とのバランスを考えると、内側だけではあまりよいできあがりにはならないと思いますが。」
「実は、夏になると股ずれするのでそこだけでいいんです。」
「・・・・・・・・・・・・・なるほど」
そんな脂肪吸引もあります。
