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先日、福島の実家に帰りました。兄のクリニックを手伝っていたら、初老の上品そうなご婦人が注射を受けながら

「よしあきちゃん、ひさしぶりねえ」

「え!どちらさまでしたか。すいません。最近、物忘れがひどくはっきりとした記憶がないのです。でも会った事があることは記憶にあります。」

「無理もないわ。40年ぶりですもの。変わってないわねえ。私、幼稚園のときに同級だったタエコ(仮名)の母よ。」

「ええー!!!そうだ、そうです。思い出しました。お久しぶりです。」

ビックリしました。私が5歳のときの 初恋の女の子のおかあさんです。今でも幼稚園時代のことを思い出すときは 必ずタエコちゃんのことを思い出してました。タエコちゃんは 4歳のときから目鼻立ちがはっきりしていてお母さんのように上品でした。さらに手足は長く、その当時の子供の中では際立ってましたから、当然みんなの憧れの的です。小学校は地区の違いで別の学校になってしまいましたが タエコちゃんの学校の友人に彼女の様子は聞いておりました。スポーツが得意で中学のときはソフトボールをしていたこと。高校は地元に進学せず東京に行ってしまったことなど、彼女のことはたくさん知ってました。さすがに私も大学に進学してからは思い出すことも少なくなりましたが、その当時タエコちゃんの友人から手を回して手にいれた一枚の写真だけは 今でも家のどこかにあるはずです。

母「今日も私を迎えに来てくれるのよ」

私「え!そうなんですか!会いたいなあ。」

母「じゃあ。後で寄るわね」

言ってから後悔しました。医師になってからは誰とでも話せるようになりましたが、私は過度の緊張症です。学会の発表が嫌いなのも、人前に出ると緊張で手足は震え、言葉も震えてしまうからです。再開の時間が来るのを緊張して待ちました。

母「よしあき先生いらっしゃる?」

私「はーい(ドキドキ)。」

タエコ「ひさしぶりー!よしあきちゃん!。こんにちわ。」

私「あ!タエコさんですか。お久しぶりです。相変わらずお綺麗ですねー。外人さんみたい(オレは何を言ってるんだ。バカバカ)。私なんてこんなになってしまいました(全然うけないじゃないかーいわなきゃよかった。はぁ)。」

昔話で盛り上がりました。やっと緊張もとれたころに

タエコ「私の幼稚園の思い出なんてよしあきちゃんのことしかなかったわよ。」

私「えー!そうだったんですか。両思いだったんですね(いい年こいて何を言ってるんだ!バカバカ)。私もですよ。」

私は49歳なので彼女も同じなはずです。現在、彼女はダンスの先生をしているらしく美しいスタイルと相変わらずの綺麗な笑顔でした。不思議なことに今まで彼女を思い出すときは、昔に手に入れたあの一枚の写真の笑顔でしたが、再会してからは頭の中の記憶が現在のタエコさんに変わって前の記憶が消えてしまったのが不思議でした。

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