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私はサケオと申します。私の一生について話そうと思います。

私たち鮭は生まれたときから父や母の顔も知らずに、愛情を受けずに育っていきます。さらに生まれるとスグに本能のままに海に向かって川をくだります。両親探しの旅が始まるのです。「かあちゃーん!とうちゃーん!今から探しにいくからなあ!」

まだ体の小さい仲間たちと海に着くと、「さあ、どこにいこう!」。みんなで群れをなして遠い海にまで探しに行きます。けど海には外敵がたくさんいます。体はまだ小さいので、途中で他の魚に食べられてしまう仲間もいます。親友のサケ太郎はカツオに飲み込まれてしまいました。それでも「元気出して探そうぜ!!」と、力を合わせてみんなで遊んだりするのです。

生まれたころは1cmもなかった仲間たちも2年もすると50cmにもなりました。私の体は47cmと小ぶりですが、誰よりも元気で正義感があります。先だっても仲間のサケ子がイカに襲われそうになったときに、イカの目をつっついて助けてあげました。それからサケ子は私の彼女です。

3年も経ったある日、サケ子は「サケオさん、そろそろ二人の子供がほしいわ。」と私に告白してきました。私も気持ちは同じでしたが、少し悩んだ末、「よし、子供を作ろう!」。もう両親を探すことを諦め、新しい家族を作ることを決心しました。そう思ったら、本能的に二人とも行き先は生まれ故郷の川を目指しました。姉のサケ美と、その彼氏サケ吉も結婚を決意し、故郷の川を目指すことを決意しました。それ以外の友人たちもみんなそれぞれカップルになって団体で故郷をめざすことにしました。気がかりなのはサケ朗です。一緒に帰るとは言ったものの、彼女がいません。私は「大丈夫だよ。川が近くなって、親戚に会ったら、誰か紹介するからさ!!」、と元気づけました。

それから1年も経つと、体長も80cmになりました。サケ子のお腹も大きく、顔立ちも優しくなってきたようです。「優しい子供が生まれるといいわね。」などと話している時です。

「ザバアアアアア!!!」とすごい音がしたかと思ったら、仲間が「気をつけろ!!!人間が仕掛けた網だ!!!」ふと隣を見ると、サケ子の胸ヒレが網に引っかかってます。

「コノヤロー!!!」

私は必死の思いで救助に行きました。サケ子をなんとか助けたとおもったら、私の背びれが網にかかり、どんどんひきあげられていきました。もう逃げられません。

「サケオさーん(涙)」

「サケ子ー!!オレはおいしい荒巻鮭になるから大丈夫だー!!あとはサケ朗とかわいい子供をたくさん作ってくれよー。」

 というわけで、私は立派な荒巻鮭になりました(笑)。

サケ子とサケ朗は力をあわせて川上まで上って立派な子供たちを作ったあと、すべての力を出し切って、笑顔で川に浮いていたそうです。

今年の正月に、いわきの小名浜港で一番高価な荒巻鮭を見ていた時の妄想です。とてもおいしいサケオでした(笑)。

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